【医師監修】AMH(いわゆる卵巣年齢検査)を調べる意義とは?

佐久平エンゼルクリニック院長
医師監修者情報 政井哲兵 院長
2014年に長野県佐久市で開業以来、体外受精による妊娠が全体の90%、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療での妊娠は約10%という成果を持つ佐久平エンゼルクリニック。「旧来の画一的なステップアップ法ではなく、個々の患者様の状態に応じたオーダーメイド治療こそが、妊娠という結果を少しでも早く達成するための最善の方法」という考え方を不妊治療の方針としています。
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不妊治療について調べたり、病院に通っていると、「AMH」について聞いたことがあるのではないでしょうか?
不妊治療を始めると、まず最初にAMHの検査を勧められることが多いです。
「AMHとは何か?」どのような目的で調べるのか知っておけば、安心して検査を受けることができます。

今回は「AMH」について詳しくご紹介します。

 

 

 

AMHとは?

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AMHとは「アンチミューラリアンホルモン=抗ミュラー管ホルモン」のことです。
一般的には、“卵巣年齢検査”ともいわれています。
しかし、この呼び方は少し誤解が生じてしまうかもしれませんので、詳しくご紹介します。

女性の卵子は、母親の胎内で赤ちゃんとして育っている時期に形成され、その時点で卵子数は最も多くなっています。
そして、出生後はどんどん減っていくため、再び増えるということはありません。
まだ母親のお腹の中にいる胎児の時期につくられるのが、「原始卵胞」です。
この「原始卵胞」が、出生から思春期〜性成熟期を迎える頃に、胞状卵胞を経て成熟卵胞になります。

AMHは、前胞状卵胞から分泌されるホルモンです。
AMHを測定することで、2つのことを知る目安となります。

  • 胞状卵胞の数=卵巣に残っている卵子の在庫数
  • これから発育する可能性のある卵胞数

 

ご自身の卵巣に残っている卵子の数=“卵巣予備能”と呼ぶこともあります。
卵巣予備能を知ることで、治療に役立てるための2つの見通しをたてることができます。

  • 不妊治療をあとどのくらい行えるか(自分に残された時間がどのくらいあるか)
  • 体外受精を行う場合、採卵のための卵巣刺激をどのくらいの種類や量で行うか

(一般的には、AMHが高い方は、卵巣刺激をしっかり行うほど採卵個数を多くすることができます)

 

AMHの捉え方〜妊娠の鍵を握るのは「卵子の数」ではなく「卵子の質」

AMHが低いと、残された卵子数が少ないということになります。
言い方を換えれば、今後発育する可能性のある卵胞数が少ないと考えられます。
そのため、早めにステップアップを検討した方がよいと判断することができます。

ただし、AMHの高さや低さは“妊娠しやすさ”とは関係がありません。
妊娠を左右するのは「卵子の数」ではなく「卵子の質」なのです。

AMHは非常に個人差が大きく、正常値や基準値となるものがありません。
同じ年齢でも、AMHが高い方(卵子の在庫がたくさんある方)もいれば、AMHが低い方(卵子の在庫が少ない方)もいます。
さらに、卵子の質(実際に妊娠できる卵子かどうか)もその人によって異なります。
ただし、注意しなければならないのは、卵子の質は年齢に影響を受けるということです。
歳をとるのと同じように、卵子も老化してしまいます。
一般的には、年齢が若い人ほど卵子の質が良いとされています。

AMHが低くても(卵子の在庫が少なくても)、質の良い卵子を持っている方は、妊娠する可能性があります。
AMHが低く、卵子の在庫数が少なかったとしても、悲観する必要はありません。
卵子の在庫数が少ないため、早めのステップアップを検討した方が良いですが、
最適な卵巣刺激法を行うなど、それぞれの患者様に合った治療を行っていくことが大切です。

 

治療への考え方

卵巣予備能がある程度確保されている(卵子の在庫を持っている)場合は、できるだけ1回の採卵で妊娠を達成できることが理想的だと思います。
また、余剰胚が確保できた場合は、保管して第2子、第3子の治療に利用することをおすすめしています。

そのため、当院では以下のような治療方針をもっています。

  1. 卵巣予備能に見合った卵巣刺激を行う
  2. 1回の採卵で、できるだけ多くの卵子を確保して、移植のチャンスを増やす
  3. 一生に一度の採卵で妊娠を目指し、可能なら第2子、第3子のチャンスも確保する
  4. 半永久的に保存可能で老化しない凍結受精卵により、人生設計をする

こうした治療は、結果的にコストパフォーマンスがよく、妊娠という目標達成までの時間も短くなります。

不妊治療にかける時間はなるべく短く、その後に生まれてくるお子さんとの貴重な時間はできるだけ長くしたいですね。
AMH検査の結果について、担当医とよく相談しながらご自身に合った治療を行ってください。

 

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