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「医療にはある程度結果が伴わないと意味がないという風には思っています。」
そう話してくださったのは、長野県にある佐久平エンゼルクリニックの政井哲兵院長です。
はじめまして、「不妊治療ドットコム」のライター、かんなです。
このサイト「不妊治療ドットコム」は、「地域」「治療方法」「特長」による病院・クリニック検索機能、専門医によるドクターインタビューや不妊治療の体験談など各種サービスを備えた医師監修による不妊治療専門の医療検索サイトです。
今回、不妊治療の施設(病院・クリニック)選びについて情報を教えてくださったのは、長野県にある佐久平エンゼルクリニックの政井哲兵院長です。
佐久平エンゼルクリニックは、2014年に長野県佐久市で開院し、患者様ひとりひとりの要望にできる限り寄り添い、質の高い生殖医療を提供しています。
体外受精実施施設は、採卵時の卵巣刺激法の考え方により大きく2通りに分類されるとのことです。
・オーソドックスな高刺激法を主体とした卵巣刺激法を提供する施設
・低刺激法、自然周期法を主体とした患者にやさしい体外受精を売りにした施設
(もちろん、各施設がその方法しかやっていないということではありません)
その中で、主に高刺激法によるオーソドックスな体外受精を提供していることで有名な施設3院と、主に自然周期法や低刺激法で患者様にやさしい治療を提供していることで有名な施設1院をご紹介いただくとともに、施設選びに関する政井院長のお話を聞くことができました。
不妊治療の病院・クリニックを探している方にぜひ読んでいただきたい記事です。
医師監修者情報 政井哲兵 院長 2014年に長野県佐久市で開業以来、体外受精による妊娠が全体の90%、タイミング法や人工授精などの一般不妊治療での妊娠は約10%という成果を持つ佐久平エンゼルクリニック。「旧来の画一的なステップアップ法ではなく、個々の患者様の状態に応じたオーダーメイド治療こそが、妊娠という結果を少しでも早く達成するための最善の方法」という考え方を不妊治療の方針としています。 |
日本における不妊治療の施設について
不妊治療の施設は大きく2つの傾向に分けられる
一般不妊治療のみの施設(一般産婦人科等)は除外した上で、体外受精実施施設から選ぶ形を考えると、現在の不妊治療を行う施設は、卵巣刺激法の方法によって、大きく2つに分けることができます。
1、卵巣刺激法をメインとした施設
従来からあるスタンダードな方法。
排卵誘発剤を多用するすることで、1回の採卵で多数の卵子を獲得することを目指す施設です。
2、自然周期法(マイルド法、低刺激法とも呼ばれる)をメインとした施設
排卵誘発剤を極力少なくする方法。
1回の採卵あたりに取れる卵子の数は少ないものの、患者の身体的、経済的負担を少なくすることを目指す施設です。
世界的なスタンダードは卵巣刺激法
2の自然周期法は主に日本で開発された方法です。
日本のクリニックでは比較的多いやり方になりますが、世界的なスタンダードは1の卵巣刺激法です。
海外の施設で自然周期法をやっているところは、ほとんど聞かないと言ってよいでしょう。
ちなみに、このようにも言われています。
↓↓
「たった5.7%…日本の「体外受精の成功率」がここまで低い理由」
https://president.jp/articles/-/42367
卵巣刺激法と自然周期法はどちらが優れているのか
施設を選ぶ患者さんの希望、考え方にもよると思いますが、必ずしも1、2のどちらかが絶対的に優れているとは言い難いとは思います。
これは、患者さんによって、合う合わないがあるからです。
政井院長がオススメする不妊治療の病院・クリニック4院
卵巣刺激法をメインとした病院・クリニック3院
卵巣刺激法は、上記に書いた通り世界的にスタンダードな方法です。
一般的に多くの施設で採用されていますが、おすすめの施設を選ぶとしたら、以下の3院になるかと思います。
これらの施設は、わたしの把握している範囲では、スタンダードな高刺激による卵巣刺激をメイン治療として行っている、大手かつ、有名どころの不妊治療施設になります。
(もちろん他にも多数のすばらしいクリニックがあると思いますが、個人の意見として敢えて選ばせていただきました)
医療法人浅田レディースクリニック 浅田レディース名古屋駅前クリニック
病院名 | 医療法人浅田レディースクリニック 浅田レディース名古屋駅前クリニック |
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住所 | 愛知県名古屋市中村区名駅4-6-17 名古屋ビルディング3階 |
アクセス | 電車でお越しの方 お車でお越しの方 |
電話番号 | 052-551-2203 |
診療時間 | 月・火・木・金 9:00〜11:00 15:00〜18:00 |
休診日 | 日・祝 |
公式サイト | |
公式 |
リプロダクションクリニック東京
病院名 | リプロダクションクリニック東京 |
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住所 | 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター3階304号室 |
アクセス | 電車でお越しの方 |
電話番号 | 03-6228-5352 |
診療時間 | 女性外来 男性外来 |
休診日 | 年末年始 |
公式サイト | |
公式 |
医療法人三慧会IVFなんばクリニック
病院名 | 医療法人三慧会IVFなんばクリニック |
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住所 | 大阪府大阪市西区南堀江1-17-28 |
アクセス | 電車でお越しの方 お車でお越しの方 |
電話番号 | 06-6534-8824 |
診療時間 | 月・水・金・土 9:00~17:00 |
休診日 | 日・祝 |
公式サイト | |
公式 |
自然周期法をメインとした病院・クリニック1院
自然周期法で有名なところは、新宿の加藤レディスクリニックです。
日本で最も採卵件数が多い施設ともいわれています。
元々、自然周期法は加藤レディスクリニックの先代院長の加藤修先生が開発された方法といわれ、こちらの施設出身の先生方が、日本各地にいらっしゃいます。
加藤レディスクリニック
病院名 | 加藤レディスクリニック |
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住所 | 東京都新宿区西新宿7丁目20番3号 ウエストゲート新宿ビル |
アクセス | 電車でお越しの方 大江戸線 都庁前駅よりお越しの方 大江戸線 新宿西口駅よりお越しの方 JR 新宿駅よりお越しの方 |
電話番号 | 03-3366-3777 |
診療時間 | 平日 7:30~12:00 15:00~19:00 |
休診日 | 年中無休 |
公式サイト | |
公式 |
自然周期法の施設では採卵回数が増える傾向がみられる
一般的に、自然周期(マイルド法、低刺激法)をメインに行っている施設(加藤系列)では、採卵回数が増える傾向がみられるようです。
これは、治療の流れが以下のようになるためと言われています。
1回の採卵当たりで確保できる卵子数が少ない→採卵回数をこなすことで妊娠という目標が達成される→よって施設全体の総採卵件数が多くなる
統計の取り方にもよりますが、同一患者で複数回の採卵を行っているということもあり得ます。
これに対して、1回の採卵で多数の卵子が取れる高刺激(卵巣刺激法)の場合は、同一患者の採卵回数はおのずと減る傾向になるようです。
日本の生殖医療業界をリードする4院の大手不妊治療施設
先に紹介した4院の施設(浅田レディース名古屋駅前クリニック、リプロダクションクリニック東京、IVFなんばくりにっく、加藤レディスクリニック)は、何といっても今の日本の生殖医療業界をリードしている施設ということになると思います。
実績にも関係するところですが、治療件数が多い=技術力が高いということになるからです。
もちろん、単純には言えない部分もあります。
しかしながら、生殖医療の場合、多くのケースで胚培養士の技術力が物を言う世界です。
採卵件数、胚移植件数が多い施設は必然的に多くの症例を胚培養士が経験している(さらに言えばより多くの卵、精子を取り扱っている)と考えられることから、おのずと技術力も高いという言い方ができます。
また、これらの施設は、これからの日本の生殖医療に貢献するような新技術や新しい知見などの学会発表なども積極的に行っています。
大手不妊治療施設を受診する際に気を付けておきたいこと
先に紹介した施設に限らず、大手と呼ばれる不妊治療施設では、多数のドクターを抱えて、主治医制を取っていないケースが多くあります。
これは、数多くの患者さんを受け入れるために必要な処置であり、患者さんの憂鬱な待ち時間を少しでも短くしようと施設側が配慮した結果です。
このような施設で治療を行う場合は、医師にすべてをお任せするのではなく、患者さん自身も積極的に治療に関わることをおすすめします。
これにより、患者さん自身が治療の進み具合や問題点を整理しやすくなりまし、将来的に転院を希望した際には、知識を役立たせることができるでしょう。
施設選びについて政井院長が思うこと
施設選びについては、患者さんが何を求めるかによって変わってくると思います。
回りくどい説明や話は特にいらないから、とにかく実績重視で施設を選びたいという方もいらっしゃいますし、逆にじっくり話を聞いて欲しい、自分に合ったオーダーメイドの治療を提案して欲しい、悩み相談をしたい、という場合もあります。
患者さんの施設選びの基準は、個々によって様々です。
これは私の意見になりますが、医療にはある程度結果が伴わないと意味がないという風には思っています。
生殖医療は他の一般的な医療とちがって、結果が不確定であるという特徴はあります。
それでもある一定以上の結果を出すことは、必要ではないかと考えているのです。
そうなると技術力や新しい知見をどれだけ取り入れているか、経験を積んでいるか、ある程度の症例数を取り扱っているかなどが、施設選びの基準になるように思います。
私の場合、これまでに当院で治療を行って結果が出なかった方から、他の施設への紹介を希望された際には、上記のようなお話をして、最終的には患者様にいくつかの候補の中から選んでいただくようにしています。